太陽光発電のメリット&デメリット簡単解説!環境にやさしい電力自給生活のススメ

太陽光発電の近況

2011年の東日本大震災以来、日本では原子力による電力供給が減少し、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料による発電需要が高まっています。

さらに折り悪しく産油国による原油の値上げや、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあり、電気料金の値上げに歯止めがかからない状況です。

加えて近年多発する気象災害は、温暖化対策が待ったなしの課題であることを私達に明示しています。

そうした中で、化石燃料に代わるエネルギーとして期待されているのが太陽光・風力・地熱などの自然エネルギーによる発電です。その普及は地球温暖化や気候変動、あるいは生物多様性などの環境問題を解決へと導く、貴重な手段になりえます。

原子力については確かに二酸化炭素は排出しませんが、未来の子供達に放射性廃棄物という負の遺産を押し付けるような運用は、いまを生きる者の責任として慎まなければなりません。

現代を生きる私達の生活には電気でしか賄えないものが多くあります。暖房も煮炊きも電気に依存することにすっかり慣れてしまいましたが、化石燃料などの熱源から得られた電気をまたぞろ「熱源」として用いるまでの間には相当なロスと環境負荷を生じます。

そうしてみると、近頃は「オール電化」を謳う電力会社のテレビCMがあまり放映されなくなりました。電力不足や電気料金の値上がりが目にあまる現在の状況では、さすがにオール電化は勧めにくいのかもしれません。

さらに言えば頻発する大規模停電においても、調理も暖房もすべて電気に依存することの危うさが露呈しています。

再生可能エネルギーとは

地球に降り注ぐ「太陽光」を「電気」に変換する太陽光発電は代表的な「再生可能エネルギー」です。「再生可能」というのは「電気の素となるエネルギーの再生が可能かどうか」という意味で、太陽光発電の場合は「太陽光」の話になります。

私達が太陽光でどれだけ発電をしても太陽光は無くなりません。そして有害な「廃棄物」も生じません。太陽光は完璧にクリーンな再生可能エネルギーなのです。

FIT(固定価格買取制度)とは

FIT は国がクリーンエネルギーの普及を目的として、電力会社に「再生可能エネルギー」で産生された電気の買取りを義務付けた制度です。

傾向として電気の買取価格は年々安くなっていて、これは太陽光パネルの価格の低廉化を反映してのことだと説明されていますが、家庭用太陽光発電での「売電」によるメリットはほぼ無くなったと言える状況です。

電力会社としてはクリーンな電気を高く買わされるのは負担でしかないので、そのツケを電気料金に付加しようと動きます。つまり、結局は一般消費者がその負担を被ることになるわけです。

これまでの家庭用太陽光発電では売電収入も大事な検討要素でしたが、今後は「自給自足」でメリットを最大化できるような計画が主流になっていきます。

太陽光発電のメリット

太陽光発電を導入するメリットについては、一般家庭に導入する場合と事業用に導入する場合とでは若干の違いがあります。とはいえ大同小異ですので、ここでは主に出力 10 kW 未満の家庭用太陽光発電について記述します。

1. 電気コストの低減

太陽光発電には初期投資が必要ですが、上手く運用すると月々の電気代が大幅に節減できるので、長期的に費用の回収が可能で、経済的なメリットがあります。

2. 電気の自給自足

自然災害などで停電が生じても、太陽光がある時間帯なら発電能力に応じた電気の利用が可能です。さらに、システムに蓄電池が組み込まれていれば夜間でも照明や通信機器などの電源が確保できます。

近頃は電気自動車の大容量バッテリーを太陽光発電の蓄電池として兼用し、家電に用いることも可能になっています。これから電気自動車が普及するにつれて、ますますそうした活用が一般的になっていくことでしょう。

3. 環境保護

太陽光発電は温室効果ガスであるCO2の排出なしでエネルギーを生産するため、その活用は環境の保全に大きく貢献します。

事業用の電気を太陽光発電でまかなう場合にはさらに大きな効果がのぞめますし、国家規模での普及を願うばかりです。

4. ブランドイメージの向上

一点だけ事業におけるメリットを加えておきますが、ブランドイメージは企業にとっては生命線とも言える重要な戦略課題です。地球環境の急速な変化がこれほど問題視されている現代ですので、もはやSDGsに無頓着な事業者は、消費者からも業界からも見限られて行くことでしょう。

そんな時代ですので、率先して環境に配慮する姿勢を示す事業者は、例外なく顧客や関連企業、投資家などからの評価を高めることができます。

太陽光発電のデメリット

メリットしかないように思える太陽光発電ですが、あえてデメリットを指摘するとすれば以下のような点が挙げられます。

・建物の形状や地理的な特徴によっては機能的に有意義な設置が困難な場合もある。
・大規模な太陽光発電システムを導入する場合は広範な設置スペースと大きな設備投資が必要になる。
・経年劣化により発電効率が低下していくことがある。
・よく検討して導入しないと売電収入が期待値を下回る可能性がある。
・紫外線や湿気などの影響でモジュールやインバーターなどの部品が故障することがある。
・太陽光パネルの設置で景観が損なわれるという意見もある。

太陽光発電システムは基本的にはメンテナンスフリーですが、設置環境によっては故障が生じやすくなる場合もあります。

例えば、夏場に積乱雲が湧き上がって大粒の氷が降ったりすることのある地域や、降雪の多い地域、潮風の当たる海沿いの地域などは予めの備えが必用です。太陽光パネルの強度や設置角度、地面からの高さなどをよく検討して導入しないと故障などのトラブルが生じやすくなります。

また、正確な耐用年数はメーカーによって異なり、システムの構成要素や使用環境を考慮して、導入を検討する必要があります。

太陽光発電は未来への投資

さて、ここまで太陽光発電のメリットとデメリットを紹介してきましたが、実際問題として

太陽光発電を導入しなかった場合に、今後どのような「望ましくない状況」が予測されるか見ていきましょう。

まず、近ごろ急速に値上がりしている電気料金ですが、現在、日本の電気は化石燃料に大きく依存しています。しかし、資源エネルギー庁の「2022年エネルギー白書」によると、存在が確認されている石油の可採年数はあと「53.5年」と予測されています。

そのような状況下で、OPEC(石油輸出国機構)は生産削減協定を結び、原油価格の引き上げに動いています。「新型コロナウイルスの影響で需要が減ったため」と報じられていますが、石油輸出国としては産出量を控えめにして高値で売ったほうが末永くメリットを得られる道理です。

併せてロシアからの天然ガスの供給も、今のところは継続されていますが、ウクライナへの侵攻を強行し国際的に孤立を深めている状況を見ると、将来的な見通しは立たない状況です。

日本政府としては安全性に疑いが生じて運転を見合わせている原発の再開を急ぎたいところですが、安全性を担保するはずの原子力規制委員会が政府から圧力を受けている様子も垣間見られ、現行の政権に与しない専門家やマスメディアによる批判が強まっています。

以上のような状況を見渡すと、日本の家庭における電気料金の高騰は今後も続いてゆくだろうと推測せざるを得ません。そして、そのような状況に対して個人で出来る対策が「電気の自給自足」なのです。

もし私達がこれからも必要な電気のすべてを電力会社からの供給でまかなおうとすると、それは地球温暖化や、将来に渡る原発のリスクを容認する愚かしい選択に加担することになってしまいます。

とかく電気代の損得で語られがちな太陽光発電ですが、その活用はもっとかけがえのないメリットをもたらします。私たち一人一人がこのキレイなエネルギーの利用に努めることは、これからを生きる子供達のために地球環境の温存を願う「祈り」なのです。

太陽光発電をコスパよく導入するには

太陽光発電の導入については国や自治体が助成を行う場合があります。しかし 2023年 3月現在、国が行う助成制度は事業者を対象としたものばかりで、家庭用の設備を対象としたものは実施されていません。

それでも全国の自治体が独自に行っている助成制度には個人の住宅用発電・蓄電設備を対象とするものがあり、東京都などは現在もいくつかの制度が稼働しています。

電力の安定供給は地方自治体においても重要な課題ですので、2022年度に家庭用太陽光発電に何らかの助成を行った自治体では、2023年度も新年度の予算で助成を行う可能性が大いにあります。

一般的には毎年3月頃までに各都道府県において予算が策定され、3月下旬から5月頃に募集が開始されるので、導入を検討されている方はアンテナを高くして情報収集に努めましょう。

傾向として「太陽光発電設備」への助成は縮小・廃止され、代わりに「蓄電池を併設して売電を行わない自家消費型の発電システム」への助成が進められています。やはり、ここでも電気の自給自足が求められているわけです。

パナソニック社の運営するサイトで全国の補助・助成事業が検索できるので、以下のリンクから検索してみましょう。
>> 太陽光発電システムの補助金を調べる

また、太陽光発電設備の導入には「固定資産税」や「所得税」が減免される制度や、低金利の融資が受けられる制度もあるので要チェックです。
>> 資源エネルギー庁HP

まとめ

供給不安と値上がりが続いている電気。家計の負担も年々大きくなっています。その電気を自給自足できるとしたら、どうでしょう。条件の悪い季節は発電能力が落ちたりもしますが、足りない分だけを電力会社から購入することもできます。

また自然災害等による停電の際も、太陽光があれば電気が得られますし、蓄電池での蓄えも心強いです。安価な夜間電力を蓄電しておくことも可能になります。

・電気機器の消費電力が肌感覚でわかるようになり、自前でつくった電気だから自然と無駄遣いを控えるようになる。
・天気の良い日に管理モニターで発電量や、蓄電レベルを確認して豊かな気分を味わえる。
・発電や節電を趣味として楽しめるようになって、電気でお金を浪費しなくなる。
・自然環境や未来を担う子どもたちに負荷を与えない「キレイな電気」で暮らしをまかなうことで、ささやかな正義感が満たされる。

1970年前後のコミューンムーブメントなど、消費社会が急速に進んだ時代にも潮流に抗い、自給自足を志す人達がいました。いま、世界では人口増加と気候変動によるエネルギー危機や食糧危機が予見されていますが、なぜか我が国の政府には危機感が感じられません。

原発に執着して再生可能エネルギーへの支援に本腰を入れず、採乳できる乳牛の殺処分を促す補助金制度で酪農家を苦しめ、何故かやっていることが真逆です。

戦時のウクライナへ広島特産の「必勝しゃもじ」携えて訪問した首相や、それを黙認した政府の人々の共感力の無さを目の当たりにすると、やはりこれからは「自給自足力」をこの身に培っていかなければと、認識を新たにしています。

家庭で太陽光発電に取り組んでいる人は一様に「発電量をチェックするのが楽しくなる」と語っています。以下の見積もりサイトでは実践者の口コミが閲覧できて、とても参考になります。